戦後における医療の発展とともに、不治の病ではなくなったハンセン病。しかし今も全国15のハンセン病療養所で、約2500名の方が生活されている。医療が発展し、経済的な側面で豊かになった私たちにとって、ハンセン病はどこか遠い、自分には関係のない話のようになっているかもしれない。しかし、明治の終わりごろからハンセン病隔離政策がおこなわれ、そこに真宗大谷派教団も協力していた。本書はそのような歴史にふれていただき、ハンセン病患者の方々から希望や、家族との絆など、さまざまなものを奪ってしまった過去に眼を向け、全ての人を同朋として見いだす眼差しを回復していただくことを願いとする。親鸞聖人以来、時代・社会に起こるあらゆる悲しみや苦しみと対峙し続けることを求めてきた真宗に生きる私たちとして、ぜひとも本書を手におとりいただき、あらためて親鸞聖人のみ教えと出遇う機会としていただきたい。